管理不全空き家
管理不全空き家とは、空き家の中でも、管理が行き届いていないとみなされる空き家で、行政が指定します。例えば、建物が一部損壊していたり、雑草やゴミが放置されている状態の空き家のことです。行政は、この空き家に対して、改善の指導を行うことができます。指導したにも関わらず改善が見られない場合には、次のステージである「特定空き家」に認定されることとなります。この管理不全空き家の具体的基準はまだ決まっておらず、既に運用されている「特定空き家」の予備軍としての位置づけであると思われます。
管理不全空き家と特定空き家の違い
管理不全空き家の次のステージである「特定空き家」とはどういったものなのでしょうか。
「特定空き家」の定義
「特定空き家」は、以下の状態にあると認められる空き家のことと定められています。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
具体的には、建物や門・看板などが傾いていたり、破損士周囲に危険を及ぼすような状態が挙げられます。
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
具体的には、ゴミや害虫・害獣の糞尿による異臭など、衛生上害があるような状態が挙げられます。
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
具体的には、建物に落書きがされていたり、ゴミの不法投棄、雑草の繫殖、汚物などで、特に景観が損なわれているような状態が挙げられます。
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
上記三つに当てはまらなくとも、周辺住民の環境保全を図るために放置できないような状態が挙げられます。
最大の違いは行政代執行の可否
管理不全空き家と特定空き家における最大の違いは、「行政代執行」の可否です。行政代執行とは、行政が空き家所有者に再三指導・命令を行ったにも関わらず、改善が見られなかった場合に、自治体が強制的に空き家を解体することを指します。この解体にかかる費用は、全て所有者に後ほど請求されます。特定空き家はこの行政代執行をしてもよいことになっていることから、特定空き家になる前に自分で改善する必要があります。
管理不全空き家になると固定資産税が上がる
少子高齢化の日本では、今後ますます空き家の増加が見込まれます。そんな中、周囲に著しい悪影響を及ぼす「特定空き家」になるまで放置しておくことはできません。そういったことから、その手前の段階である管理不全空き家に対して、勧告により土地にかかる固定資産税が上がる法改正がなされることとなりました。
宅地にかかる固定資産税の減税制度
まずは、宅地にかかる固定資産税の減税制度の内容を今一度確認しましょう。居住用の家屋が建っている土地には、「小規模住宅用地の特例」と「一般住宅用地の特例」という減税制度が適用されます。どちらも、土地課税標準額が軽減され、結果として土地の固定資産税額が最大6分の1にまで減額することができます。
例えば、敷地面積500平方メートルの住宅用地の場合、200平方メートルは小規模住宅用地の特例が、300平方メートルは一般住宅用地の特例が適用されます。
減税制度の除外対象となる条件
法改正にて、市区町村が指導しても状態が改善しない管理不全空き家については、上記の特例の適用を解除することとなってしまいました。解除となってしまうと、固定資産税額は最大6倍にもなります。
除外対象となる流れについて見ていきましょう。まず、市区町村長は、放置するといずれ特定空き家になるおそれのある空き家を「管理不全空き家」として指定し、管理指針に即した措置を「指導」します。
市区町村長は、指導しても状態が改善しない場合には「勧告」することができます。この勧告を受けた際、当該空家の敷地にかかる固定資産税等の住宅用地特例は解除となってしまいます。
固定資産税が上がるのは、勧告を受けた翌年
管理不全空き家や特定空き家の固定資産税が上がるのは、行政から勧告を受けた翌年です。もし勧告を受けた場合は、翌年1月1日時点の固定資産税から上がります。
固定資産税は、「その年の1月1日時点の所有者」が納税義務を負っています。実際に納税通知書が送付されるのは4月1日ですが、何か対策を行うのであれば1月1日までに行っておかなければなりません。
考えられる対応策としては、行政の指導の通り修繕などを実施することが挙げられます。しかし、もともと使う予定のない空き家に修繕費用をかけるのであれば、売却し手放してしまう方が良いという考え方もあります。
まとめ
今回は、管理不全空き家について説明しました。法改正とともに、空き家に対する指導は強くなることが想定されます。もし活用していない空き家を所有している場合は、管理不全空き家に指定される前に、トータルサポートさせて頂きますので、まりも不動産にぜひ、お気軽にお問い合わせください。
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